今年、1月11日の日経新聞をご覧になりましたか?
ISO認証審査厳格化(形骸化批判に対応)
顧客満足など実効性重視
がタイトルの記事がありました。
さて、日本の審査機関の総元締である、「日本適合性認定協会」には
「マネジメントシステムに係る認証審査のあり方」(2007年4月13日付)
において、協会の審査のあり方についての見解を示しています。
新聞記事、協会の見解を拝見した結果、形骸化への対応案について私の考えをここに示します。
「システムの成熟度を考慮する。」
ISO9001,14001等の認証取得に要する期間は概ね12ヶ月もあれば取得が可能である。
最短では、ISO14001の認証を6ヶ月で取得したケースもある。(実際その支援をした。)
ご存知のように9001は品質マネジメントシステムであり、14001は環境マネジメントシステムである。それぞれのシステムは、全社のマネジメントシステムの一側面からみたものであり、それぞれの取り組みの中には、ISOの認証取得のために初めて取り組んでいるものもある。
認証取得のために、内部監査やマネジメントレビューを含めてシステムを1サイクルまわしている実績を必要とする。この1サイクル実施した結果をもって受審し、認証される。
この段階では、ISOの要求事項になんとか仕組みとして適合している状態であって、システムがしっかりと組織に定着し、機能しているとは言いがたい。ISOのアプローチ方法としてのPDCAサイクルの採用によって、継続的な改善を要求しているように、システムは継続的に改善され、その成熟度を増す。成熟度は、システムの有効性によって判断されるものである。その具体的内容は、ISO9006(JIS Q9006)に譲るが、新聞記事やJABの示した見解よりもこの考え方を採用すべきだろうと思う。
ISO認証取得企業は自社のマネジメントシステムの成熟度を図る指標を設定し、当該システムの成熟度を評価する。
審査機関は、短期間で被審査企業のマネジメントシステムをたかだか数日で把握、理解し、審査に臨む。それでシステムの有効性まで審査することは事実上無理がある。
しかし、上記のような成熟度を計る指標設定の妥当性や、その指標値の推移をみてみればシステムの有効性も判断しやすいだろう。
認証審査の段階では、システムの成熟度に関する指標の設定や判断の方法など企業と議論した上で認証するのがいいと思う。
「マネジメントシステムは製品、サービスを保証しないとの認識の共有化」
不幸にも、不二家をはじめとしてISO認証取得企業でも不祥事を起こすことが実証されている。
ISOを持っていれば、製品やサービスが高品位で保証されるとの妄信を排除する努力は、審査機関をはじめ、審査側でしていかないといけないことだと思う。
そのため、ISO/IEC17021の序文にあるような、規格要求事項への適合の他、明示した方針及び目標を一貫して達成できることや、システムが有効に実施されていること、及び組織や顧客をはじめとした利害関係者に価値を与えるなど、きわめて実現困難なことを第3者による実証を提供するとはいいきらないことである。会計監査よりも遥かに短い時間の中でマネジメントシステムが有効に機能しているかどうか等判断できるはずもない。
例えば「明示した方針や目標を一貫して達成できる」なんてことが実現できる組織ならそもそもISOの認証を目指し、第三者の実証を必要としないだろう。
とにかく形骸化の批判への対応は形骸化ではなく、現状の審査方法の限界の認識をあらためて頂くことと、システムがPDCAの方法論を採用していることから、成熟度を評価する方法に審査の方法を改めること。
だと、長文駄文を書いたが簡単にいってしまえばそんなところ。
「批判されたから厳格に」というのは短絡的すぎないか?、そういった発想の方に問題がある。